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ポリフェニレンサルファイド(PPS)

 PPS(ポリフェニレンサルファイド、JIS樹脂名:ポリフェニレンスルフィド)は、耐熱性(連続使用温度200〜240℃程度)が高く、機械的強度、剛性、難燃性、耐薬品性、電気特性および寸法安定性等が優れている結晶性のスーパーエンジニアリングプラスチックの一種である。

 1888年に樹脂としての存在が確認されていたPPSは、20世紀半ばになってから研究が進み、1973年にフィリップス・ペトローリアム社が量産を開始した。その後、1984年に同社の特許が失効してからは多くの企業が参入し、用途開発が急速に進展した。

 PPSの多くは、PPS レジンと各種強化材(無機フィラーやエラストマー、ガラス繊維等)とを複合化したコンパウンドとして、生産・販売されている。

 PPSの需要は、自動車、電気・電子(デバイス)、住宅設備・OA機器・精密機器等多岐にわたり、その優れた特徴を生かし、急速に市場を拡大している。
 中でも、自動車部品用途は、今後、最もPPSの採用数の増加が期待される分野である。PPSの突出した耐熱性、耐薬品(ガソリン、オイル類他)等の高パフォーマンスに加えて、他のスーパーエンプラと比較して、高い価格競争力を有していることが理由とされる。この自動車部品用途では、従来の金属部品やフェノール樹脂、ナイロン系材料からの代替に加え、新規用途部品への導入も加速しており、ガソリン車だけでなくHEV・EVといった次世代システムでの新規構造部品や金属からの代替が困難であった用途への展開が進んでいることから、今後さらなる需要の伸びが期待されている。
 その他、ファイバー用途においては、石炭火力発電所のボイラー向けバグフィルター(集塵装置)に採用されており、特に環境汚染が深刻化する中国において、大気への排出規制の厳格化を背景に、近年需要が急増している。
 このように、品質、コストのバランスに優れたPPSは、今後グロ―バル市場において、ますます需要の伸長が期待される樹脂である。