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液晶ポリマー(LCP)

 LCP(Liquid Crystal Polymer)は溶融時に液晶性を示す熱可塑性樹脂の総称で、分子構造により全芳香族系と半芳香族系に分類される。全芳香族系は特に耐熱性に優れ、半芳香族系は薄肉流動性に優れている。

 LCPは棒状の剛直な分子構造を有するため、溶融状態では分子鎖が一方向に並んだネマチック液晶となる。この結果、分子の絡み合いがほとんどなく、わずかなせん断力で流動を開始し、また溶融粘度が低いことから良好な流動性を示す。分子鎖は成形時には流れ方向に配向したまま冷却、固化されるが、この配向により流れ方向には優れた機械強度を示す。これは自己補強性と呼ばれ、LCPの特徴の一つである。また、耐熱性が高く、難燃性、耐薬品性、制振性、寸法安定性にも優れた特徴を有している。

 LCPは成形温度が非常に高いポリエステル系の材料であり、成形時には微量の水分が樹脂の加水分解を引き起こし、様々な成形不良の原因になるので、成形前にはペレット表面の水分を除去するための十分な乾燥が必要である。
 通常の射出成形機が使用できるが、一般にLCPの成形は高速で充填する場合が多いので、油圧式の場合はアキュームレータ付、電動式の場合は高トルクモーターの成形機を推奨する。固化速度が速いのでハイサイクル成形が可能である。
 金型設計としては、一般のエンプラに比べて細いランナーで成形可能である。また、LCPは一般に高速充填を行なうため、パーティング面を利用したエアベントや割型によるガス抜きが重要になる。アウトガスが殆ど発生しないので、型腐食は起きにくい。

 電気・電子分野ではコネクタやカメラモジュール、リレー、スイッチ、ボビン、光ピックアップ部品などに数多く採用されている。自動車関連では電装部品の他に、コンプレッサー部品やショックアブソーバー機構部品など機械的な部品類にも採用されている。事務用機器や一般の機械にも及び、パソコンや複写機・プリンターなどの内部構造部品、回転機器の軸受け、油圧機構のシールパッキングなど金属代替分野でも幅広い採用例がある。