エンプラ関連の用語解説
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 カ行
カップリング剤<coupling agent>
複合材料の充填剤と樹脂との双方に反応または相互作用することによって、機械的強度の向上などの効果をもたらす化学物質。ガラス繊維の場合にはシランカップリング剤でガラスを処理して用いられる。
カーボンブラック<carbon black>
黒色の炭素粉末。比重1.8〜2.1, 平均1〜500ミクロンで、炭素含有率は通常95%以上である。プラスチックに対してはおもに紫外線劣化抑止用、着色用、伝導性向上用に利用される。
かしめ
プラスチック成形品の一部分に過剰の応力を加えて変形させること。かしめること。
荷重たわみ温度<Deflection temperature under load>
熱変形温度Heat distortion temperature の呼び方が荷重たわみ温度と変更になった。プラスチックを一定荷重下において、一定速度で温度上昇させたときに所定の変形を示す温度を言う。様々な測定法があるが、ASTMによる方法が最もよく使われる。
ガラス転移点<glass transition temperature>
高温に加熱された高分子はゴム状を呈するが、これを冷却し、ある温度に達すると分子のミクロな運動が凍結されてガラス状態に移行する。この現象をガラス転移、そのような温度をガラス転移点と呼び、Tgという記号で表す。このTgをこえるとゴム状弾性を示すため、特に材料強度の重視される応用分野に於いては重要な性質といえる。
環境応力亀裂(ESC)<environmental stress cracking>
引張り強さより小さい応力により、プラスチックの表面及び内部に亀裂の生ずることをいう。この亀裂の発生は、プラスチックの接する外部環境によって著しく促進されることが多い。
含油プラスチック<oil-containing plastics>
ポリアセタール、ナイロン、PET、ポリエチレン等のべ一スポリマーにミクロン以下の油滴を均一分散させたもの。含油率は最大20vol %まで可能であり、成形はベ一スポリマーとほとんど変わらない条件でできる。
キャビティー<cavity>
成形用の型において成形品が形成される空間部分。また、この空間を形成しているメス型の彫刻面を言うこともある。
強化プラスチック<reinforced plastics,RP>
ガラス繊維等の繊維状補強材を樹脂に混和して成形することにより、強度を著しく増加させたプラスチックを言う。補強材としてガラス繊維の他に炭素繊維やウィスカーなどが用いられる。
強靱性<toughness>
一般に脆さがなく、引張り強度と破断時の伸びの大きい材料は強靱性を持つといわれている。
機械的性質<mechanical property>
高分子材料の基本的性質のうち、材料力学的性質を言う。機械的性質として次のようなものがある
  1. 引張り強さ、曲げ強さ、圧縮強さ、せん断強さ、引裂き強さ、こわさ
  2. 衝撃強さ、硬さ、摩擦及び摩耗性
  3. クリープ、疲労
  4. 粘弾性
屈折率<reflective index>
光が比重の異なる二つの物質を透過するときに、その境界面で進路が曲げられる。このときの入射角Iと屈折角Rの正弦比sin I /sin Rを屈折率と呼んでいる。プラスチックはだいたい1.4〜1.6であり、屈折率は重合速度やガラス転移点の測定などに利用されている。
クリープ<creep>
プラスチックに一定の荷重を加えて放置しておくと、変形が時間と共に増加していく。このような現象をクリープという。熱可塑性の樹脂はポリスルホンやポリカーボネートなどの非晶性樹脂、あるいはガラス繊維入りのものは、優れた耐クリープ性を示す。
クリアランス<clearance>
はめ合部分あるいは噛み合い部分などにおける間隙、金型においてはピンとピン穴の隙間をいう。
クレージング<crazing>
=ヘアクラック。成形品の表面に多数の細かいひび割れを生じ、曇った現象を言う。
グラファイト<graphite>
=黒鉛、石墨。炭素の同素体の一つで、天然に産出する。黒または銅灰色リン片状結晶。摺動性に優れ、プラスチックの滑り性、耐摩耗性を改良するために添加される。
限界PV値<limitting PV value>
すべり試験において、すべり性能を維持できなくなる限界の圧力(P)と速度(V)の積の値のこと。限界PV値が高いほど、すべり性能に優れた材料と言える。
光線透過率<light transmittance>
透明プラスチックの光線透過度。可視光線で計るものと紫外線で計るものとがある。入射光量と試験片を通った全光量の比を百分率で表したもの。
コロナ放電<corona discharge>
導体の端部の突起や絶縁体中の空隙など、電界の集中しやすい部分の電子密度が特に高まったとき、その部分に接する気体が絶縁破壊を起こして発生する局部的な放電を言う。
コンポジット<composite>
=複合体。2種類以上の材料を組み合わせてつくった成形品または材料を言う。樹脂と補強材を組み合わせてつくった材料や多層押出成形品等はこの例である。
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 サ行
サブマリンゲート<submarine gate>
射出成形用金型のトンネルケートと同様に使用される場合もあるが、一般には成形品の目だたない場所にゲートをつけるため、突き出しピンに鉢巻状にランナーを彫り込み、成形品の下部側面から成形材料を充填するようにした射出成形用金型のゲートを言う。
酸素指数<oxygen index>
プラスチック、ゴム、繊維などの難燃性評価尺度の一種で、酸素と窒素の混合ガス気流中で棒状の試験片が燃焼し続けるのに要する最低酸素濃度を容積%で表示した値。この値の大きいものほど燃焼しにくい樹脂と言うことになる。
SAMPE<Society for the Advancement of Material and Process Engineering>
アメリカに本部のある先端材料技術協会の略。
CSA<Canadian standard Association>
カナダ規格協会。非営利団体として発足しカナダの規格及び認証のサービスをカナダ国民及び政府、産業界の便益のために提供する。
シャルピー<Charpy impact test>
衝撃試験の一種。衝撃に対する抵抗強度を表すが、アイゾット衝撃試験の衝撃強度との差は、試験片を単純梁で支持し、切込み部(ノッチ部)の背面を打撃して求めるというところにある。
シラン処理<silane finish>
強化プラスチックに用いられるガラス繊維の表面処理法の一種。ビニルトリクロルシラン処理がその代表的なもの。
ジェッティング<jetting>
射出成形の金型充填過程で、最初に成形材料が噴出し、そのために蛇行状の模様が成形品に残される不良現象を言う。成形品の肉厚に比べてゲートの断面積が小さすぎたりするときに発生する。
水素結合<hydrogen bond>
水素原子を仲立ちとする結合。電気陰性度の大きいF, O, Nが分子の構成要素となっていると、分子内あるいは分子間で水素結合を起こす。ポリマーの場合、一つ一つの水素結合は弱くても多重効果によってポリマー全体が強度などに大きく影響する。 その典型例がナイロンの結晶で、水素結合が簾の竹を編んだ様に結び付いており、ナイロンの優れた強度やタフネス発現の一因となっている。
ストレスクラッキング<stress cracking>
引張強さより小さな応力により、プラスチックの表面あるいは内部に亀裂を生じることをいう。プラスチックにおいては、この亀裂の発生は接する外部環境によって著しく促進されることが多いので、環境応力亀裂と同義に使われることがある。
スナップフィット<snap fit>
アンダーカットのある雄雌一体の嵌合部を持つ製品を、指などの弱い力で嵌合させることをいう。プラスチックの組み立て用語として使われる。
スプルー<sprue>
射出またはトランスファー成形用金型の成形材料の流路の一部で円錐形の部分。また、この部分に固化した材料をなす。細い側は成形機のノズルとつながり、他方はランナにつながる。
静電防止剤<anti-static agent>
プラスチックは摩擦により静電気を帯び易い。このためプラスチック製品の表面の電気抵抗を低下させ、静電気の発生を防止する必要があり、このために成形材料に加えられる各種界面活性剤、無機塩、多価アルコール、金属化合物等を総称して静電防止剤という。
静摩擦抵抗(静摩擦係数)<coefficient of static friction>
互いに接触して静止している二つの個体が外部の力で滑り始める時、運動の開始を妨げる抵抗をいう。静止して接触している二つの物体間には運動時よりも強い凝縮力が働くため、静摩擦は一般に動摩擦よりも大きい。
脆化温度<brittle temperature, brittle point>
脆化点ともいう。一般にプラスチックは低温にさらされると脆さを示すようになる。この現象を脆化と言い、脆性破壊を起こす限界の温度を脆化温度という。脆化温度は種々の温度において試料に衝撃を与えて、その破壊状態を調べて決定する。
絶縁破壊強さ<dielectric breakdown strength>
絶縁材料を電極に挟んで電圧を加えていくと、低電圧の間は材料の絶縁性のため電流はわずかしか流れないが、電圧が高くなるに従って電流は急増し、ついには材料の絶縁性が失われる。これを絶縁破壊といい、絶縁材料が耐えうる最大の電圧を絶縁破壊強さという。
先端複合材料<advanced composite material , ACM>
=先進複合材料。強化繊維とマトリックスからなる強度や弾性率が著しく高い複合材料。
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