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熱可塑性ポリイミド(TPI)

 一般のポリイミド樹脂(PI)は熱硬化性樹脂で優れた性能(耐熱性、高強度など)を有する。その特性を損なわず、射出成形による高効率生産を可能にした全芳香族ポリイミド構造にしたのが熱可塑性ポリイミド(TPI)で、三井東圧化学が独自の技術で開発したもの。2012年のTPIの需要量は100トン弱で、需要の最大地域は日本で、全体の6割を占める。分野別では自動車・工作機械が最大で過半を占め、半導体治具や精密・OA機器が続いている。

 TPI(熱可塑性PI)は、一般のポリイミドの出発原料である芳香族テトラカルボン酸ニ無水物と芳香族ジアミンの中に、イミド基以外の熱的な安定な官能基や芳香族系原子団を導入して、生成イミド基の繰り返し単位中での濃度を低下させたもので、熱可塑性スーパーエンプラの中でも群を抜くガラス転移温度250℃、結晶性(融点388℃)を有する。また優れた摺動特性、耐放射線性、低吸水性、耐薬品性、難燃性、耐放射線性などもあげられる。

 ガラス転移温度、高融点を有するため、高めの成形温度に設定する必要がある。400〜420℃の領域でほぼPESと同等の流動長を得ることができる。この溶融流動性により、複雑な形状の製品も成形可能となっている。

 TPIは、民生機器から産業機器、さらには原子力関連、航空宇宙関連に至る広範な領域・分野において、フィルム、シート、精密成形品、接着剤、ワニス、繊維、プリプレグ等の多様な形態で実用化されている。耐熱性、電気特性、クリーン性、および耐プラズマ性を生かして電気・電子分野に、高強度、高弾性、両剛性を有する繊維強化グレードは航空機、向動車、産業機器等の構造材料に、耐熱性、機械的強度、摺動性などを生かして自動車・工作機械、精密機械・OA機器などに、耐熱性、機械的強度、耐薬品性、クリーン性などを生かして半導体治具に使用されている。