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変性ポリフェニレンエーテル(PPE)

 変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)はPPEと他樹脂とのポリマーアロイの総称である。
PPE自身は約210℃のガラス転移温度(Tg)を持つ非晶性の樹脂であり、エーテル結合を主鎖にもつことから耐加水分解性に優れる。加えて低比重で低吸水性を有し、収縮率が小さい。また電気特性では広い周波数で低誘電率や誘電正接を有する。その他には耐酸・アルカリ性にも優れる等の特徴がある。その一方で溶融時の粘度が高く成形加工性に難があること、多くの芳香族炭化水素系溶剤に影響を受けやすいといった欠点を持つ。

 変性PPEはPPEの優れた特徴を活かしつつ欠点を補うかたちで数多くのポリマーアロイが存在する。
 その中で耐衝撃ポリスチレン(HIPS)とのアロイは、PPEとPSが任意の割合で完全相溶型をとることができる特性を活かし、流動性の向上と幅広い耐熱領域を実現できる代表的なポリマーアロイである。更に非臭素系および非塩素系難燃剤で容易に難燃化でき、比重がエンプラの中では一番小さい特徴を持つ。

 結晶性樹脂とのアロイではポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などがある。これら結晶性樹脂とアロイすることでPPEの成形加工性、耐オイル、有機溶剤性の改善が期待できる。PPとのアロイではPPの耐熱アップ、寸法安定性及び銅害性改善が、PAとのアロイでは、PAの低吸水性、寸法安定性、耐酸・アルカリ性の向上を、PPSとのアロイではバリ・ソリ低減、軽量化といった各種アロイ相手と互いに材料物性を向上させることが可能とし、樹脂材料に求められる高機能化の実現に大きく寄与している。

 これらアロイ材の用途は多岐にわたっており、電気・通信機器、OA機器、プリンタ−、自動車の外装・電装部品をはじめとして、太陽電池、二次電池や水処理部品、食品容器、医療機器などに広がっている。