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ポリエーテルスルホン(PES)

 PESは、1972年にイギリスのICI社によって開発されたやや黄褐色を帯びた透明の超高耐熱非晶性エンプラである。2012年の世界のPSUの需要量は10,400トンで、分野別シェアは自動車、電気・電子、医療および食品で3等分している。主な重合メーカーは海外も含めて3社。耐熱性、耐薬品性も良好である。主な用途は電気・電子分野をはじめ、自動車,医療,耐熱塗料,分離膜など幅広い用途に使用されている。

 PESは、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)とピスフェノール-S を非プロトン性極性溶媒中で、炭酸カリウムの存在下、縮重合反応により得られる。高い耐熱性、強靭な機械特性、耐薬品性、耐加水分解性などの特徴を有する。ガラス転移温度は225℃、荷重たわみ温度は200〜220℃で、長期連続使用温度(UL温度インデックス)で180〜190℃をもつ。エステルなどの加水分解しやすい結合を持たないため、耐熱水性に優れ、高温スチーム雰囲気中でも使用可能。ただし紫外線性により若干変色する。

 PESは吸水性があるため、160〜180℃で5〜24時間乾燥させる必要がある。金型温度は120〜180℃の設定。一般的な射出成形機が適用でき、樹脂温度は330〜380℃が好ましい。ただし溶融粘度が高いため剪断発熱により樹脂温が高くなるため、標準的なフルフライトタイプが好ましい。

 電気・電子では、耐熱性、電気特性などを生かしてコネク夕、コイルボビン、ブッシング、コンデンサフィルムなどに浸透している。耐熱水性の特徴から、医療関連では耐スチーム滅菌性などの特長を生かして各種医療関係用具・器具などに、食品分野では電子レンジ用食器・部品、コーヒーメーカーなどに使用されている。更に、寸法安定性、耐クリープ性などの特長を生かし、熱水用バルブ、配管継ぎ手部品、防蝕電極の絶縁材、温度センサーのセル、温水ポンプ部品などにも使用されている。