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ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)

 PEEKはハイドロキノンと4,4'−ジフルオロベンゾフェノンを基本成分として重合される、高い機械的特性・強度を有する、従来にない特性を備えた耐熱性(半)結晶性芳香族ポリマーである。ポリマーの優れた機械特性と、CF等の補強材と組み合わせにより、従来の金属分野にも広く活用されている。

 PEEKは非常に耐熱性が高く、熱可塑性樹脂中最高レベルの耐熱性(連続使用温度250℃)、耐熱変形性(GF30%強化品の荷重撓み温度が300℃)を有する。また、高い難燃性(V-0)とともに使用時のアウトガス、溶出物の発生が極めて少ない。機械特性、耐摩擦・磨耗特性、クリープ特性に優れ、金属部品の代替も可能である。化学的にもきわめて安定で、耐熱水性(200℃のスチーム中で連続使用可能)、耐放射線性に優れる。耐薬品性も非常に良好であり、化学物質に対して優れた耐性を示す。

 射出、押出成型などの各種の加工法が可能で、様々な機械部品、押出被覆、フィルム、シート製造に使用されている。PEEKは融点が350℃で、成型加工のためには450℃の最大加熱温度が可能な加工機が適する。PEEKの吸水性は低いが、安定した成型加工、特にフィルム成型では150〜160℃で、2〜4時間の乾燥が望ましい。金型温度はナチュラルグレードで160〜200℃、補強材含有グレードで180〜220℃程度に設定する。効率的な射出成型加工のためには、ホットランナーの使用が望ましい。

 主な用途としては、耐熱、高い機械特性、摩擦磨耗特性から自動車、航空、鉄道、その他の射出成型による機械部品、押出加工による電線被覆、フィルム、固化押し出しなどがある。また、良好な電気特性や非常に低いイオン溶出特性から電子・電気、半導体関連の部品にも広く使用されている。化学的安定性、放射性安定性より、医療用途への応用も増えつつある。パウダーのグレードは、耐熱性の塗装剤やプリプレグの製造に使用されている。